抜歯宣告からの救出 萎縮診療の問題 その1 症例提示
症例提示
患者:17歳 高校生
主訴:下の前歯が痛い

下顎左右1と右下2は、小学生の時にぶつけて破折してしまい、近くの歯科医院にて、根管治療と歯冠修復(かぶせもの)の処置を受けました。
最近になって同部に違和感が生じたために、2件の歯科医院を受診しましたが
- 1件目: 歯周病(根尖性歯周炎?)
- 2件目: 亜脱臼(?)の診断で(聞き間違えたのかな・・・)
2件とも治療不可能、抜歯の宣告を受けました。ご両親が大変心配され、HPより当院を探し当て来院されました。
聞けば自分の後輩、大学受験を控えているとのこと。なんとかせねば・・・。


すべての根尖部(こんせんぶ:歯根の先端部)には、細菌感染を示す根尖病変(こんせんびょうへん:歯根内部の細菌感染による炎症反応)を認めました。デンタルエックス線写真では、根尖部を取り囲む黒い影で表現されます。
この症例は、根管治療の基本を理解していれば 特に難しい症例でもなく、症状の消失と根尖病変を縮小させるだけであればマイクロスコープを使わなくても対応できる症例です。
ただ一つ心配なのは、歯根破折(しこんはせつ:歯根が割れてしまうこと)、特に縦に破折していないかどうかです。
次回へとつづく