歯磨きでは虫歯を予防できない?

「歯磨きでは虫歯を予防できない、虫歯予防に歯磨きはほとんど意味がない、だから歯科医院でプロクリーニングを受けましょう!!」

最近、こんな謳い文句をよく目にするようになりました。

歯科業界のみならず

「長生きしたけりゃ○○を食べろ」

「○○をすると長生きできる」

「○○薬は一切飲むな」

こんな言葉が、健康に関する本やテレビ番組でも頻繁に見受けられます。

こういった、やや極端ともいえる表現は情報を受け取る我々の心を掴むのには良いのかもしれません。

例えば

「長生きするには、バランスのとれた食事が一番!」なんて言われても

「そりゃそうだよね」「当たり前のことでは?」と思いますが

「長生きしたければ○○を食べろ!」と言われると

「○○ってそんなに健康に良いのか!」「極端に聞こえるけど面白そう」と思うものです。

しかしながら
我々の常識を覆すようなタイトル、1つの事項を徹底して推す排他的なタイトル、これをそのまま鵜呑みにしてしまうことは非常に危険を伴います。

話を、冒頭で紹介した「歯磨きでは虫歯は予防できない」に戻しましょう。

「歯磨きさえしていれば虫歯にならないか?」

「虫歯予防には歯磨きが唯一絶対の方法か?」

と聞かれたら、確かに答えは「NO」です。

毎日3回食後にしっかり歯磨きをしていたとしても、寝る前にジュースを飲んで寝る生活をしていれば、虫歯になってしまいます。

虫歯の発生には「糖質の摂取」という根本的な問題が存在します。

確かに、歯磨きだけでは虫歯は予防できないのです。

「では、我々は歯磨きをしなくても良いのか?」

答えは「NO」です。

虫歯予防の唯一絶対の方法でないからといって、歯磨きをやめてしまってもよい ということにはならないのです。

完璧な糖質の制限ができないのであれば食後に歯磨きをして、プラーク(歯垢)を取り除くことは虫歯を予防する一助になることは確かです。

先程の話に当てはめれば「○○を食べれば長生きできる」からといって、「○○さえ食べていれば、あとは何でもOKではない」ということです。

「唯一絶対の方法ではないから排除して良い」というわけではないし「身体にいいからといって○○を唯一絶対のものとして良い」わけではないのです。

また、歯磨きには虫歯予防以外にも歯周病の治療、歯のステイン(着色汚れ)の除去、エチケット目的 等々重要な意味があります。

極端な表現、常識を覆すような斬新な見出しというのは我々の心を惹きつけます。

しかし、仮にそこに真実が含まれていたとしても「鵜呑み」ではいけませんし、内容を深く理解する必要があります。

医療者側の正しい情報発信が求められるのは言うまでもありませんが、情報を受け取る側にも「正しく受け取る努力と責任」があるのです。