自家歯牙移植術は抜歯した歯牙を他の欠損部位に植えかえる術式ですが、
この術式と似た方法に抜歯後歯牙再植術という術式があります。
抜歯後歯牙再植術は抜歯した歯牙を同じ部位に再び植えなおす術式です。
植えなおすときにその歯牙を分割や回転などの加工を施すことがあります。
これから御覧いただくのは、抜歯後の歯牙を回転させてから再植するので
抜歯後歯牙回転再植術と呼ばれることもあります。
右下の奥から2番目の歯が痛いということで来院。 根管治療の途中でした。 右下奥から2番目の部分レントゲン写真です。 この歯は1本の歯に前後2本の歯根が存在します。
根管治療の審査の結果、前半分の歯根(近心根といいます)に塞ぎきれない穴が存在することが判明し、 保存不可能と診断しました。
近心根(前半分の根)の抜歯後、残った遠心根と1つ前の歯を利用してブリッジにする方法があります。
ブリッジの場合、全く虫歯でない1つ前の歯を全体的に削ってしまうことになってしまいます。
ブリッジ参考図
インプラントは1つ前の歯を削らなくてもよいのですが遠心根(後半分の根)も抜歯する必要があります。
インプラント参考図
そこで今回は、遠心根抜歯後歯牙再植術という治療法を選択しました。

術前のレントゲン写真です

二股の歯根を前後に分割し

近心根のみ抜歯をします。

傷口の治癒を確認した後、
今度は遠心根を一旦抜歯し
この部の骨に一旦抜歯した
遠心根が入る場所を形成して
遠心根を90度右回転させてから

再び植えなおしました。
再植した遠心根と
形成した骨との隙間は
傷口の治癒にともない
新生骨で埋まります。
この治療法を選択すると1つ前の歯を削らなくてもよくなり
なおかつ、まだ使える遠心根がなくなってしまうこともありません。
遠心根抜歯再植後4週間後の写真です。再植した遠心根と周囲の歯肉が生着しています。
遠心根抜歯再植後4週間後のレントゲン写真です。 抜歯再植した遠心根の周囲に新生した骨が集まってきています。
仮歯を装着して抜歯再植した遠心根の周囲組織の 成熟を待ちます。
歯肉の成熟が確認されたところです。 抜歯再植した遠心根は周囲の骨に支えられ抜け落ちることも揺れ動くこともありません。 周囲組織の再生回復力に感動です。
最終補綴物(かぶせ物)を装着しました。
両隣在歯を削らずに治療ができました。
最終補綴物装着直後のレントゲン写真です。 抜歯再植した遠心根の周囲に新生した骨が集まってきていますが、抜歯前の骨の痕跡が、まだ認められます。
最終補綴物装着から2年後の写真です。
特に問題は認められません。
同時期のレントゲン写真です。 周囲の骨がさらに熟成されています。 骨が熟成し抜歯前の骨の痕跡は、ほぼ消失しています。
