自家歯牙移植術

1本の歯が抜歯になってしまうと通常は、ブリッジになることが多くなります。
ブリッジには欠損歯の両隣の歯を多く削らなくてはならない欠点があります。
これに対して今ではインプラントが選択されています。
インプラントはブリッジのように両隣の歯を削らずにすむという
大きな利点があります。
当院でもブリッジや義歯の症例が減りインプラントの症例が多くなっています。
しかしインプラントそのものは、どんなに品質が良くなったとしても
人工物には変わりありません。

インプラント症例

インプラント症例

何とか人工物ではなく“自身の歯”が欠損のところに入らないだろうか・・・。
私が患者なら、こう思います。
その治療法があります。
自家歯牙移植術といいます。
親知らずなどの機能していない歯を一旦抜歯して
欠損部へ移植(移しかえる)治療法です。
この治療法が成立するためには、以下の条件が必要です。

  • 移植歯(ドナー)が存在すること
  • 移植歯の歯根の形態がなるべく単純であること
  • 移植歯を含めた口腔内全ての歯が歯周病に罹患していない、または軽度であること。
  • 移植歯の歯根管内の感染が無い、または軽度であること。
  • 移植受容側(レシピエント)の歯槽骨が、移植歯根の太さ、長さを受け入れるのに十分な幅、
    高さを有すること(歯槽骨造成術にて対応する場合があります。)
  • 患者さん自身が歯磨きを確実に行って下さること、治療期間が長期化になることに御理解くださる
    こと、など患者さん自身が協力的であること。
  • 患者さんが比較的若い方(40歳くらいまで)であること。
 

この方の左下一番奥の歯(前から7番目)は、
以前、虫歯の進行が深く抜歯になってしまいました。 今回はこの部位に右上の第3大臼歯(親知らず)を 移植することになりました。

 

右上の第3大臼歯です。この歯には 咬みあう相手の下の歯がありません。 自家歯牙移植術には、歯として機能していない 歯牙を移植歯(ドナー)として利用します。 この歯に麻酔を施し、虫歯の部分を除去してから 抜歯を行います。


 

根の周りに赤く取り巻いている薄い膜は
歯根膜と呼ばれる組織です。
この歯根膜がどれだけ歯根の周囲に
残存して取り巻いているかによって
移植の成否が左右されます。
とてもよい条件で抜歯できました。

 

自家歯牙移植術直後のレントゲン写真です。 移植歯の埋入の方向、深さ、ともに良好です。 形成した歯槽骨と埋入した移植歯との間に 隙間が存在しています。


 

傷口が落ち着いた後に、根管治療を行いました。

 

根管治療が終了したときのレントゲン写真です。 この時点で歯槽骨との隙間が骨組織で 埋まりかけています。 移植歯の後に歯槽骨の壁があるので その後ろの下第3大臼歯は、前方には動きません


 

冠をかぶせるに先立って築造体と呼ばれる 土台のようなものを装着した後に 仮封冠(仮歯)を装着して問題の無いことを 確認した後に

 

最終冠を装着しました。


 

移植歯を抜歯した後の右上大臼歯部は 移植歯を抜歯したことにより さらに歯磨きが簡単に行えるようになり 虫歯や歯周病になりにくい環境になりました。

 

移植後1年後のレントゲン写真です。 前述の歯根膜を介して歯槽骨が移植歯の周囲に 確実に取り巻いています。 この歯をつまんで動かそうとしても動揺は全く無く この歯でも他の歯と同様にしっかりと 硬いものでも咬めるようになっています。


 

移植後2年後の状態です。 全く問題なく、硬いものでもしっかりと咬めます。

 

移植後2年後の状態です。 レントゲン上でも全く問題ありません。



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